生涯乙女宣言者であるひなぎくの読んだ本をご紹介★
乙女的ではない本もたくさんありますので
乙女ではない方にも楽しんでいただけると思います(•´ω`•)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック

映画「ブレードランナー」の原作SF作品。

初出は1968年。

 

【登場人物】

リック・デッカード――バウンティハンター(賞金稼ぎ)。脱走アンドロイドを殺して賞金を得る

ジョン・イジドア――郊外に一人で住む男。知能的な疾患のある特殊者(スペシャル)

レイチェル・ローゼン――ローゼン社の誇る最新型アンドロイド。ネクサス6型

 

【アイテム】

情調(ムード)オルガン――自分の気分を調整できる機械。チャンネルの組み合わせ次第でどんな気分にでも調整可能
共感(エンパシー)ボックス――ウィルバー・マーサーと一体になるための機械。同時刻に接続している人たちも同じようにマーサと一体になっており、感情を共有できる。
マーサー教――作中で詳細は明記されていないがマーサーと一体になり他人と共感することで一人では孤独ないことを実感することを目的としているように感じた

フォークト=カンプフ検査――アンドロイドを見分けるための精神的検査。

 

【舞台】

第三次世界大戦後の地球は死の灰に覆われて人が快適に住めるような環境ではなくなった。政府は火星への移住を推奨し、1家に1人のアンドロイドを奴隷としてつけてくれるので大多数の人々は火星に移住した。

そんな中、それでも地球に残っている人たちの物語。

 

 

 

【あらすじと感想】

火星から奴隷アンドロイドが地球に脱走してきた場合、バウンティハンターが処分することになっている。リックはネクサス6型のアンドロイドを計6体処分するよう命じられる。

 

この世界では本物の生き物を飼うことがステータスで、人工の電気動物を飼っていると”思いやりのない人”とレッテルを貼られる。「アンドロイドのようだ」という侮蔑も含んでいるのかもしれない。

リックは本物の羊を飼っていたが死なせてしまった。買い換えるお金がないので死んだ羊にそっくりな電気羊を用意して体面を繕っていた。本物の動物に憧れるリックは動物を買うためアンドロイドの追跡に燃える。

リックは自分の仕事を「ただ犯罪者を罰しているだけ、機械を処分しているだけ」と考えていたが、レイチェルや舞台歌手として活躍していたルーバ・ラフトなどのネクサス6型アンドロイドに出会ってからは疑問や罪悪感を覚えるようになっていく。

彼らは愛などの感情があるように見えるし歌などの特技(=価値)もある。

本当に殺さなくてはいけないのだろうか。


しかし実際、アンドロイドは知能は人間そっくりかそれ以上だが感情がない。

感情があるように見せかけることは出来るが、あくまでもフリなのでとことん残忍になることができる。

そのため、命令に背いて脱走するアンドロイドは殺処分することになっている。


この作品でいうアンドロイドとは”犯罪者予備軍”のことなのかも知れない。

 

 

 

アンドロイドの中には優しく親切な人もいれば優雅な人もいる。自分がアンドロイドだと気づいていない人までいる。
しかし共感性つまり思いやりがないので損得や身の危険を感じた場合には簡単に人間を殺してしまう危うい存在。

現代社会ではその”犯罪者予備軍”を野放しにしているが、本書は処分という方法を取った世界。

 

内容はかなり違うが、「平和な社会を実現するための対応策」という点で「時計仕掛けのオレンジ」を想起した。

 

この世界ではイジドアのような”精神は正常だけれども知能が正常範囲外”の人は差別される。

処刑されことはないが火星への移住はできない。


第三次世界大戦の反省から、火星では”正常な人間”だけを集めて戦争を起こさない平和な社会を作ろうとしているのではないか。


でも絶対に利己的な人が出てくるので平和の維持は難しい。

その利己的な人をどう扱えば良いのかは永遠の問題。

なぜ現れるのか、何が原因なのか、なぜ当人は我慢が出来ないのか、我慢するためにはどうすれば良いのか…。

根本的な解決法がない限りは間引くしかないのかもしれない。

 

”正常な人間”たちは、間引かれないよう周りからはぐれないよう協調し合って、自分の感情をコントロールして、同じ方向を向いて過ごすしかないのかもしれない。

従順なアンドロイドのように。

 

 

【アンドロイドは電気羊の夢を見るか(本・Blu-ray)】

 

 

【時計仕掛けのオレンジ(本・Blu-ray)】

 

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